コーヒーを飲むと死亡率低下という研究データ〜クロロゲン酸とフェニルインダンが長生き健康効果!

コーヒについては、コーヒー学と言えるような学際的な研究がある。文学、美学、栄養学、医学、あるいは社会学、心理学に連なる広い世界がある。それはみなコーヒー好きな人たちが作り出しだのであろう。

コーヒーと健康

そんな中でも今日は、コーヒーと健康について調べてみる。

肝臓ガンのリスクを軽減するとか、動脈硬化の予防に効果があるとか、抗酸化物質が老化を妨げるとか、いろいろと効能は挙げられるが、総合してどうなのだろうか。

コーヒー摂取が死亡率を下げる

コーヒーの摂取が死亡率を下げるという疫学研究がある。各地で大規模な調査がされていて、信頼性も非常に高い。

UKバイオバンクの調査

英国の50万人を対象にした大規模なコホート研究で、502641人を対象にスタートして最終的な有効サンプル数は498134人となった。多変量Cox比例ハザードモデルを用いて、カフェイン代謝の遺伝的多型との関係で調査された。2006年から2016年までの追跡調査である。

結果、コーヒー摂取量と死亡率のハザード比(HR)次のように推定された。コーヒーを全く飲まない人を基準とした場合のHRは次の通りである。1日に何杯のコーヒーを飲むのか、6種類のタイプに分けられている。

1日の摂取量 ハザード比(95%信頼区間)
〜1杯 0.94 (0.88〜1.01)
1杯 0.92 (0.87-0.97)
2〜3杯 0.88 (0.84-0.93)
4〜5杯 0.88 (0.83-0.93)
6〜7杯 0.84 (0.77-0.92)
8杯〜 0.86 (0.77-0.95)

インスタントコーヒー、レギュラーコーヒー、カフェイン抜きについても、同様の関連性が観察されたという。

当初の目的にあった「カフェイン代謝の遺伝的多型との関係」については違いはあまりなく、「カフェインを代謝しにくい人がコーヒーをたくさん飲んでも問題ない」という。

(出典:Association of Coffee Drinking With Mortality by Genetic Variation in Caffeine Metabolism

IARC(国際がん研究機関)による欧州10か国の調査

ヨーロッパ10カ国におけるコーヒー飲用と死亡率を調査した多国籍コホート研究である。ヨーロッパ10か国に広げても、コーヒー摂取と死亡率低下とは相関があるという結果は同様であった。

(出典:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28693038
Coffee Drinking and Mortality in 10 European Countries: A Multinational Cohort Stud

日本の国立がん研究センター(コーヒー摂取)

日本でもコーヒー摂取と全死亡・主要死因死亡との関連について調査されている。こちらも、ほとんど飲まない人を基準=1として、HRを求めている。

1日の摂取量 ハザード比(95%信頼区間)
〜1杯 0.91 (0.86 ~0.95)
1〜2杯 0.85 (0.81~0.90)
3〜4杯 0.76 (0.70~0.83)
5杯〜 0.85 (0.75~0.98)

日本の調査では欧州のものとは1日の摂取量のクラス分けが異なっている。飲む量が異なるからであろう。気になるのは、5杯以上になるとリスクが高まることである。

これを見て1日に4杯までにとどめておこう思う人もいるかもしれない。

死因別死亡リスクでは、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患ではコーヒー摂取の効果も有意であると同時に、5杯以上となると3〜4杯に比べてリスクが少し増える傾向にあった。

(出典:国立がん研究センターコーヒー摂取と全死亡・主要死因死亡との関連についてhttps://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3527.html

日本の国立がん研究センター(緑茶摂取)

日本では緑茶の影響も調査された。緑茶を1日1杯未満飲む群を基準として比較した場合の死亡率が推定されている。

1日の摂取量 男性のハザード比(95%信頼区間)
1~2杯 0.96 (0.89-1.03)
3~4杯 0.88 (0.82-0.95)
5杯以上 0.87 (0.81-0.94)
1日の摂取量 女性のハザード比(95%信頼区間)
1~2杯 0.90 (0.81-1.00)
3~4杯 0.87 (0.79-0.96)
5杯以上 0.83 (0.75-0.91)

男女とも、緑茶摂取量が増えるにつれ死亡リスクが低下する傾向がみられた。

コーヒーとは基準値が異なるので、コーヒーと緑茶を同列に比べることはできない。

(出典:国立がん研究センター緑茶摂取と全死亡・主要死因死亡との関連についてhttps://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3526.html

コーヒーの成分と効能

コーヒーの成分

コーヒーには、カフェイン、クロロゲン酸を主とするポリフェノール、褐色色素、ナイアシン(ニコチン酸)、トリゴネリンなどが含まれている。他にも、たんぱく質、脂質、多糖類などが含まれる。

七訂日本食品標準成分表によれば、抽出したコーヒーの液体の成分は次の通り。コーヒー粉末10gを熱湯150mlで浸出したコーヒー100g中の栄養成分を示す。

成分 含有量
カロリー 4kcal
水分 98.6g
たんぱく質 0.2g
脂質 Tr:微量
炭水化物 0.7g
灰分 0.2g
カルシウム 2mg
リン 7mg
Tr:微量
ナトリウム 1mg
カリウム 65mg
ビタミンB2 0.01mg
ナイアシン 0.8mg
カフェイン 60mg

コーヒーの効能

コーヒーの効果として顕著なのは、カフェインである。次にポリフェノールが挙げられる。焙煎の影響もあり、成分は大変に複雑である。焙煎の後には成分は数百種類になるという。

カフェインは、眠気や疲労感を抑えて、思考力や集中力を増加させる。中枢神経に作用し、呼吸機能や運動機能を高める。腎臓に作用して利尿効果を高める。偏頭痛のうち脳血管性の痛みを弱める。

ポリフェノールは、細胞の酸化を抑制することで、肝臓ガン等を予防する。

ナイアシン(ニコチン酸)が血液中のコレステロールを下げ、動脈硬化を予防する。

浅煎りか深煎りどちらが健康に良いのか?

コーヒーの成分では、ポリフェノールであるクロロゲン酸が含まれている。これは抗酸化作用物質で、コーヒーの生豆には10%程度含まれている。中程度の焙煎して熱を加えると、このクロロゲン酸は含有量が下がり、半分程度になる。

一般的には、この解釈が最も説得力があり、抗酸化作用を有するポリフェノールを摂取しようと考える時は浅煎りが良い。

最近新たな研究が報告され、深煎りが良いと主張する人々の拠り所となっている。次に、それを紹介する。

アルツハイマー病とパーキンソン病のリスクを下げる物質

カナダのクレンビル脳研究所で、ウィーバー博士のグループがフェニルインダンという物質とアルツハイマー病とパーキンソン病を発症するリスクの減少とが相関するという研究報告を発表した。フェニルインダンは、コーヒーを焙煎する際に生成される。苦味の成分として知られていた。

コーヒーの摂取は、アルツハイマー病とパーキンソン病を発症するリスクの減少と相関があることは知られていたが、どういう作用かは分かっていなかった。

アミロイドβおよびタウというタンパク質は、アルツハイマー病とパーキンソン病の患者に蓄積が見られる。そして、フェニルインダンは、この二つのタンパク質の凝集を阻害することが実験室レベルで分かった。分かったのはここまでだ。

コーヒーと一緒に摂取したフェニルインダンが、人間の体内で機能することが確かめられたわけではない。経口で摂取したフェニルインダンが体内に吸収されて、血液脳関門(BBB:  blood-brain barrier)を通過できるかどうかが注目される。新薬の開発に向けて有望だということだ。

(出典:Frontiers in Neuroscience – Phenylindanes in Brewed Coffee Inhibit Amyloid-Beta and Tau Aggregation「コーヒーから抽出されるフェニルインダンがアミロイドβおよびタウ凝集を阻害する」)

最後に

コーヒーの成分を調べていて、途方に暮れてしまった。生豆と焙煎後で成分が変わるのは予想していたが、ローストの仕方で数多い成分物質の含有量がめまぐるしく変わるのである。

またコーヒー豆の品種によって、ある成分が強かったり弱かったり、あるいは含まれていたりなかったりする。これは非常に厄介である。

今後の様々な研究についてもフォローして行きたい。

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