山小屋のご両家 in 八ヶ岳

山小屋のご両家 in 八ヶ岳

古い話である。2000年の7月に八ヶ岳に登った。八ヶ岳は何度も登っているが、いつも気持ちの良い山行きを楽しむことができる素晴らしい山である。山域も広いし、山の周辺も綺麗だから、どこから登ってどこに下りてもいろいろな楽しさが満喫できる。

春は清々しいし、夏は涼しいし、秋は美しい。冬はさらに美しいと言うが真冬には登ったことがない。南北に長い連峰だから縦走(高い山の尾根づたいに山を経巡るコース)も変化に富んでいて楽しい。もちろん東西にも奥が深い。

楽しい楽しいと言いつづけても良いのだが、今回は赤岳を一気に登って下りることにした。サラリーマンで忙しかったのである。

赤岳は、八ヶ岳の中でも一番高いピークがあり、頂上付近は切り立った岩場になっている。頂上に辿り着き天気が良ければ360度の展望が開ける。3000メートル級の山はあまり頂上で晴れたりしないので、そういう球形で広い世界を見られることはあまり多くはない。

僕は昨日の夜中の1時半に東京を出発して徹夜で車を運転して来た。昨日は大森の野田岩で鰻を食べたのだが、そうしたら急に山に行きたくなったのだった。(野田岩は、まだ池上通り沿いの木造の古いお店だった頃である。)

早朝の3時半頃に小淵沢ICを抜け、登山口まで来てから、ほんのちょっと休憩して5時に登り始めた。ずっと徹夜で運転してきたので、赤岳頂上まで登って、赤岳頂上小屋に着いたらすぐ布団に入って寝るつもりでいた。

早朝からさくさくと登る。天候も良く気持ちよく登れる。順調に歩を進めて、赤岳頂上小屋に到着した。頂上についても天気がものすごく良い。

まだお昼である。硫黄岳とか、縦走しても良い。時間もある。お昼の山小屋は、人もあまりいなくて何もすることがない。囲碁とか将棋をする相手もいない。もう一仕事、4時間くらい歩いたって良いのだ。

本当に天気が良く、景色も良いので、ちょっとビールでも飲んでみようか。せっかくだから。いつも頑張っているから今日はご褒美だね。・・・と、私の快楽の守り神がささやくのだった。そんなわけで、赤岳頂上小屋に着いてビールを飲んでいた。

すると、小屋の中に50代くらいの夫婦が、それも2カップルが休んでいるのが見える。そんな仲良しっていう感じでもないけれども、相互に礼を軽んじない感じの2組の夫婦。どういう関係なのだろうか。少し興味があっったので、少し近寄って行って話をすることにした。

山でのコンタクトは簡単だ。こんにちは。ただ挨拶をすればよい。どこから登って来たんですか? どこへ行くんですか? 他の山にも登りましたか? いつから登っているんですか? などなど・・・。

聞けば、彼らは山に登るのは初めてだと言う。しかも二夫婦が四人とも初めてだという。その4人が八ヶ岳に登って来たことは、まことに不可思議である。(さっきの感じ、僕が結婚する時のウチの両親と彼女の両親との感じに近かったのだ。)

よくよく話をきくとその片方の夫婦のお嬢さんが昨年1999年の七夕に赤岳に登ってきて、山小屋で働いている人と知り合って、同年12月に結婚したのだそうだ。とてもおめでたい話である。山小屋で出会うというのも何と素敵なことだろうか。

結婚式後の次の夏が来て、それぞれの両親が一度山小屋というものを見てみよう、ということで登ることにしたのだという。僕は一日で登ってきた道のりを一泊二日でゆっくり登ってきたらしい。

山の出会いも素敵だけれども、両家のご両親がこれだけの高山に登ってくるというのもとても素敵なことだ。

2000年7月の記事では「ご結婚おめでとう、山小屋のご両家!」と締めくくったかもしれない。末永くお幸せに。

(ずいぶんと前のことになるが、2000年7月頃に書いた記事で、そのサイトはもう閉鎖しているのですが、なぜだか急に思い出したので再び記事にしました。以前とは表現が異なるかと思います。)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください