学力偏差値について、簡単に説明する。
全体の点数分布の中でどこにいるのかを示す
偏差値というのは、テストの点数や身長・体重などの数値が、集団の中で平均値を中心にして、上や下へどれだけ隔たりがあるかを表す指標である。
動物の体長などの個体差を見るとこんな感じになっていることが多い。その例で言えば、横軸が体長で縦軸が個体数ということになる。
これでは真ん中がゼロで変ではないか? と思われるかもしれない。
それもそのはずで、これは正規分布の基本となるグラフであり、平均値が0となっている。そこから上下に分布が示されている。そして、全体に対する割合が縦軸になっている。平均値の0の比率は、おおよそ0.4=40%となっている。
入学試験などの学力テストでは、この正規分布グラフの形に似ているので、これに近似させた表現方法が考えられたのである。
真ん中がゼロでは使いにくい
この正規分布を学力テストの結果報告に応用するというアイディアは、ほどなくして現れた。
100点満点のテストで80点だったから、良くできたと言えるのかというと、平均点が90点だったら、真ん中よりも下ということになる。
では、100点満点のテストで平均点が50点だった時に、80点だったら、もうこれは普通だったら、バッチリ高得点と言って良いと思うわけである。
ところが、極端な場合もあって、100点が49人いて、0点が49人いて、あなたが80点で、誰か一人が20点だったとすると、平均点で50点になるけれどもあなたは上位から50番目となり、100人中50番目ということになる。(そもそも、この場合は全く正規分布していないのであるが、説明のための特殊な例としてご理解ください。)
これでは順位が出せないから、順位が分かるような指標が欲しいということで、偏差値を応用して、学力偏差値というものが考案された。
学力偏差値
日本では、平均点を50として、標準偏差σを10となるように調整したものが指標として使用されている。偏差値50は平均点で、偏差値が60になると上位から約15.9%に位置し、偏差値が70になると上位から約2.3%になるというものである。
海外の標準テスト等で、平均点を500として標準偏差を100とするものもあるようだ。その場合には、日本の平均点50で標準偏差が10の場合と比例するので、その時の数値が600であったら、日本での学力偏差値に換算すると60に相当する順位であることが推測できる。
学力偏差値というのは、とりもなおさず、上位パーセントを推測できるようにしたものなのである。
これが学力偏差値である。この偏差値と上位パーセントとの関係が直感的に計算できないために、何だかピンとこないという人も多い。これは誰もが簡単に暗算できるようなものではない。換算表を見るに限る。
下のリンクから、上位パーセントを実際に見てください。
→ 偏差値と上位パーセントの関係
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