公立中学校の5段階評価の絶対評価と相対評価・偏差値との相関、これからの評価

既出記事の「偏差値と上位パーセントの対応表」の後、これに関連して現実的なテーマで幾つか疑問に思ったことを調べてみた。

公立中学校の5段階評価はどうなっているのか?

前回の表から一部だけを抜き出してみる。「偏差値=75、上位%=0.62%、何人に一人?=161.0人」というのは、もちろん受験の成績を意識したものだ。

偏差値75というと、上位から0.62%に入る極めて高い成績で、人数比で考えると161人中で1番目あたりに位置するという目安を示す。おおよそのポジションを把握しやすいように作った表が偏差値と上位パーセントの対応表である。

さて、公立中学校の5段階評価というのがあって、これが結構よく分からない仕組みになっている。かつては相対評価ということだったが、現在は絶対評価になったと言われる。

1990年頃の相対評価では、5段階で「評定5」が7%、「評定4」が24%、「評定3」が38%、「評定2」が24%、「評定1」が7%となっていた。

これをおおよその偏差値で示すと次のようになる。

評定5が偏差値65以上、評定4が偏差値55以上、評定3が偏差値45〜55、評定2が35〜45、評定1が35以下となる。これは目安であって、学校毎に、教科毎に、あるいは教師毎に異なる。

絶対評価 偏差値
評定5 7% 65以上
評定4 24% 55〜65
評定3 38% 45〜55
評定2 24% 35〜45
評定1 7% 35以下

現在の公立中学校の絶対評価の実態は?

では、現在の絶対評価はどうなっているのか。公立中学校では実際にどのような成績を付けたのかが教育委員会によって調査され、公表されている。

東京都教育委員会が2020年3月26日に公開した「都内公立中学校第3学年及び義務教育学校第9学年(令和元年12月31日)の評定状況の調査結果について」から数字を引用する。現時点では最新データだ。

都内公立中学校623校の平均で、教科毎の評定の割合を示している。単位はパーセント(%)である。(四捨五入の処理により合計が必ずしも100%にならない)

5 4 3 2 1
国語 12.1 25.1 48.3 11.6 3.0
社会 14.0 23.6 44.5 14.4 3.4
数学 13.4 22.6 44.8 14.9 4.4
理科 12.7 23.6 47.0 13.4 3.4
音楽 12.3 26.3 49.7 9.0 2.6
美術 11.3 27.0 50.6 8.5 2.5
保健体育 9.0 27.5 53.4 7.5 2.5
技術・家庭 10.6 26.7 50.9 9.4 2.5
外国語(英語) 14.6 21.8 43.3 16.3 4.0
9教科全体 12.2 24.9 48.1 11.7 3.1

教科別に比較すると、「評価5」の比率がもっとも高いのは、「外国語(英語)」で14.6%である。逆に、「評価5」の比率がもっとも低いのは「保健体育」で9.0%だった。

また評価2と評価1を合わせてみると、音楽、美術、保健体育、技術・家庭の4教科は、比率が少なく、総体で見ると、低評価が少ないことがわかる。

英語は5の比率が高かったが、2の比率が一番高いのも英語で16.3%となっている。この差は随分と大きい。

9教科全体で見ると、評定5と4を合わせると全体の37.1%で、評定2と1を合わせると14.8%である。評定3は、全体で見ると真ん中よりも少し低い位置にある。評定3が50%弱あるが、評定3の中で中央値以上となるのはおよそ27%、中央値以下となるが73%である。

東京都教育委員会のページには、中学校等別評定割合(個表)という区別の学校別の評定割合も載っている。学校名は匿名になっており数字が振られているだけだ。

調査対象人員が40人以下の学校等を除いているので、先ほどの対象校623校から少し減って579校となっている。

区別に見ると評価というのが、確かに相対評価ではないことがわかる。つまり、学校ごとに分布に偏りがある。評価割合に広がりがあるのは理解出来るが、格差はかなり大きい。場合によっては大きすぎるようにも見える。

学校毎の格差が大きい

2019年のデータ中学校等別評定割合(個表)では、文京区No6の中学校では国語の評価5の割合が39.0%であった。ものすごい高い比率だ。一方で世田谷区No13の中学校ではたったの1.0%である。100人に1人しかいない。

2020年のデータ中学校等別評定割合(個表)では、国語の評価5の比率がもっとも高い学校が世田谷区のNo.11で39.9%であるのに対して、清瀬市のNo.4では1.6%、そして同じ世田谷区の最低はNo.18の2.0%となっている。

学校によって、実際にそれだけの学力に差があるのかもしれない。しかし、本当に地域差でそれだけの学力の違いがあるのか。あるいは、学校の評価の基準が一定ではないのか。さらには、教師の主観が強すぎることはないのか。疑問は尽きない。

教科の評定というのは、テストの点だけで決まるわけではない。定期テストの点数に加えて、授業の態度や積極性、提出物、小テストなどが総合される。それ自体は問題はない。しかし、個々の教員に判断が委ねられている部分がかなり大きく、その評価のプロセスは不透明である。

ここをもう少し透明にしてもらえたらと願うわけだけれども、達成度を細かく分ければ良いというわけではない。評価項目を細分化したところで、評価するのは教師であり、個性を備えた人間である。

さらに言うと、生徒の学力のレベルは、教師の指導の成果でもある。学力を向上させることに長けた教師は、生徒の学力を向上させ、その結果、高い評価をつけることができる。一概には言えないし、因果関係も言えず、曖昧な部分である。

いずれにせよ、中学校の評価は換算されて内申となり、都立高校受験に大きな影響を与えることには違いない。

教育庁及び東京都教育委員会では、こうしたデータを公開しているおり、「全教科にわたり、1の評定が付いていない学校」などを調べて統計を出しているのだが、ただ統計処理をして仕事は終わりというのではお粗末である。

評価割合の偏りは一目瞭然だ。国語評価5の生徒の割合が、39%の学校と1%の学校があるというのは、極端すぎるのではないか。役所の表面的な統計調査だけでなく、教育学者による調査を実施し、客観的なデータから不平等が発生していないかどうかを明らかにして欲しいと思う。

これからの公立中学校の評価はどうあるべきか

都内だけをみても、格差はかなり大きいというのが実感である。あまり公表されていないが、データから客観的に見ると、高収入の人が多く住む地域の学力は高い。

高級住宅地という場所があり、そこに住む人々は、高収入だったりする。高収入の家庭では、子供の両親とも高学歴であるという傾向がある。高収入の家庭では教育費も潤沢である。つまり、高収入の家庭では教育に関心が高く、教育費も高額になる。従って、教育という点では圧倒的に有利だ。

学校によっては、ものすごくよく出来る生徒が集まる学校もあるだろうし、そうではない学校もあるだろう。成績というのは、クラスの中で、よくできた生徒に対して「よくできましたね」と褒める効果もあるので、それはプラスの動機付けにもなるはずだ。

それが都道府県全体で見ると偏差値65以上となるような、非常に勉強の出来る生徒が、クラスの半数以上集まってしまうような学校もあるかもしれない。先生も成績をつける際、大変に困るだろう。

同じ地域に住んでおり、転校することもなく過ごせば、中学から高校に進む時にも、地域による評価の偏りの影響はさほど気にならないかもしれないが、引越しをした時に公立中学の評価の格差があると、ダイレクトに内申に影響してくることになる。推薦入学にも大きな影響がある。

結論としては、各中学校の成績を公立高校の受験に用いることは、公平性という点で問題があるのではないかと思う。これだけ成績に隔たりがあるのに、平等が保てるとは考えにくい。内申点をベースに進めるのは、もはや見直す時期なのではないだろうか。

作成:2018年3月29日
更新:2019年7月20日
更新:2020年7月30日


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“公立中学校の5段階評価の絶対評価と相対評価・偏差値との相関、これからの評価” への3件の返信

  1. 納得されてとりあえず良かったです!
    どのあたりに納得されたのでしょう?
    教科ごとの重み付けも格差があり、
    学校ごとによってもかなり違いますよね?

  2. AAAA5とCCCC2はありか?国立教育政策研究所からの資料ではよいこときなっているらしいが…

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