餃子のおいしい焼き方(鉄鍋の場合)

鉄鍋を使って、餃子を焼くというのはやはりとても良いものである。何とも言えない鉄鍋の味わいがある。

鉄の力はやっぱりすごい!

鉄鍋を使うことでそれがすぐさま鉄鍋の味として分かるというほどのことはないと思うけれど、やはり微妙に鉄分が入っているのであろう、何度も食べているとその微妙な違いはあるように思われる。

鉄びんのお湯で淹れたお茶が美味しいように、焼き餃子はやはり鉄鍋が良いと思う。

地球で一番多い金属は鉄である。地球の中心には鉄が超高圧で燃えているのだ。鉄はありふれているけれども、自分一人で鉄を自然界から取り出して使おうと思ってもそれはなかなかできることではない。

自然の中から鉄を取り出して加工して鍋にするまでには、実はものすごく高度な知恵が必要で、それを実践できる技術とが合わさって初めて可能になるのである。

鉄鍋を作るには、鉄鉱石を探して、掘り出して来て、それを溶鉱炉で高熱で焼いて鉄を取り出して、今度は鍋の形に加工するわけだ。普通の木を燃やしても鉄を溶かすだけの高熱にはできないのだ。

そんな鉄に思いを馳せ、そして鉄鍋に敬意を表して、餃子を焼いてみる。

インターネットの餃子のレシピを見ても、ほとんどはテフロン加工(フッ素樹脂加工)のフライパンの話なので参考になるものがあまり見つからなかったので、これを書くことにした(今ではもっと増えてきたようだ)。テフロン加工が悪いということでは全くなくて、失敗しにくいというメリットがある。

餃子を鉄鍋で作る

いきなり、「鉄鍋」や「餃子」と言われても、困ってしまう。何を準備すれば良いのか。あれやこれやある。食材は省略する。具材となる餡は、鉄鍋で焼こうとも、テフロン加工で調理しようとも、同じもので良いのである。

餡:

焼く以前のことであるが、やはり気をつかっておく。
(餡の作り方はあまりにも多種多様なため今回は省略)

野菜の水気を良く取る
・肉だけでよくもむ。
・野菜を入れてからは軽く混ぜる。

皮:

・皮をしっかりととめる。密閉
これは重要だ。口がゆるいとそこから水分が出てきてしまう。
鍋に漏れ出てくると、その周辺の餃子くん達をぺちゃぺちゃさせて、
結局は焦げ付かせてしまう。
空気もなるだけ入れないようにする。

・餃子の皮が薄すぎると難しい。破れやすいのだ。市販の皮はどうも薄すぎるように思う。

・包んだ口を少し上に持って来るともちもち感が出て良い。

焼き方の極意

鉄鍋の使い方(パターンを分けました)

買ったばかりの鉄鍋

買ったばかりの鉄鍋である場合、錆止めコーティングがされているので、空焼きをする。換気は最強で。

強火で全体を焼いて行くと、黒からグレーっぽくなる。全体がグレーっぽくなったら、火を止めて冷まして洗剤で洗う。

火を付けて完全に乾かしたら、もう一度空焚きする。
加熱しながら多めの油を入れてなじませる。お玉1杯程度。
鍋の内側に対してまんべんなく、油がぴちゃぴちゃしている加熱状態を作る。3分位続ける。
油をこぼさないよう要注意だ。

いつもの鉄鍋

手入れが良ければ熱して油を回してなじませれば良いだけ。鉄鍋の便利さを感じることができる。汚れが残っていたり、薄くサビが浮いている程度なら、さっと洗って加熱して乾かす。

焦げ付きやサビのある鉄鍋

長い間使っていなかった焦げやサビがあるような鉄鍋を使う時は、まず洗う。当たり前すぎてすみません。金たわしやクレンザーで洗う。

かちこちになった焦げ付きなどがあったら、スプーンの柄のところでこすり取る。

そして、鉄鍋を火にかける。
メラメラと油煙が上がるのは、
以前の残っていた油が燃えるためだ。

とにかく、これは燃やし切ったほうが良い。

中身がなければ燃えひろがることはないので、
恐れずに、でも注意は怠らずに、
燃やし切る必要がある
この工程が一番大事であるので決して省かないようにしよう。

そしてまた金たわしやクレンザーで洗う。まだ汚れが残っていれば、もう一度焼きを入れて燃やして、また洗う。

内側の表面がつるっとしてきたら、鉄鍋をよく熱して、
加熱しながら多めの油を入れてなじませる。
鍋の内側に対してまんべんなく、油がぴちゃぴちゃしている加熱状態を3分位続ける。

ごま油投入

鍋は最初によく熱する。うっすら油煙があがるくらいに温める。

油煙が止まったら、大さじ一杯くらいのごま油を入れる。
さっと鍋を回してなじませる。
鍋をぐるぐる回し終わったら、余った油を小皿に出しておく。

大体の場面において、中火から強火である。

餃子入場

・餃子はぺちゃっと鉄鍋に乗せる。
(隙間をなくし温度ムラをなくすためだが、これは適当で良い)

・入れた後、少し揺すって鍋にすべるようにする。

・ここではあまり焦がさない。でも少しは焦がして良い。
底の水分が抜けて固くなってきたらお湯を投入。

熱湯投入

・熱湯を入れる。蒸し上がるちょうど良い量を考えるべし。
12個で80ccくらいか。
(高さにして、5mm程度であろうか)

・蓋をして蒸すのに3分から5分。これは強火で良い。
(ここでは9割方、火が通っていると良い!)
(豚肉が生というのは絶対に避けたい!)

・水が余っていれば捨てる。
鍋の底が乾くまでもう少し加熱。

再びごま油投入

・ごま油を投入。油は餃子底部の水分を飛ばすのが目的
大さじ1杯程度でOK。油を回す。
油は一気には広がらないけれどそれで良い。

最初に鍋を熱した後に小皿に入れた油もここで利用できる。
餃子本体にかけず、鍋の空きスペースに入れる。
油が多いと出来上がりで底がぶつぶつになる。
油が適量だとつるっと平らになる。
これは慣れるしかない。

蓋をして仕上げ

・また蓋をして、底の水分が完全に干上がるのを待つ。
ぱちぱち言わなくなったら蓋を取る。
油投入からおよそ2分。蓋を取ったら中火に戻す。

・するとべちゃべちゃしていた餃子の底がパリパリする。
もんじゃのようにはがれる。
(上手くはがれそうになるまでじっと耐える)
(でも時々は焦げる)
(でも炭にはならない)

剥がして盛り付け

・上手く剝がれたら、ひっくり返して盛り付ける。

まとめとして、鍋のお手入れ

餃子は焼くところが一番難しい。どれだけ綺麗に皮を包んでも、焼いた時に焦げ付いてしまうととても悲しい思いをする。

何だかんだ言って、綺麗に焼くためには、鍋をツルツルに保つ必要があり、そのためには鍋のお手入れが必要なのだ。

とにかく燃やし切るのが良い

鍋のお手入れは、使い終わった時にスポンジで水洗いして、焦げ付きがなく、汚れが落ちてつるっとした感じになっていれば、再び熱して乾かして保管する。洗剤を使うと、油分や被膜が落ちやすくなり、かえってさびやすくなる。

焦げ付いたり汚れがこびりついてしまったら、金たわしと洗剤を使ってよく洗う。そして、鍋をガンガンに火にかけて鍋に残った油がメラメラと油煙を上げるまで熱して、しかもそれが完全に炭になるまで続ける。

中途半端に残った油が固まっていると具合が悪いのである。また、これはこすっても綺麗には取れない。燃やすしかないのである。

家のコンロ(あるいはバーナー)は、高温が続くと勝手に弱火になってしまい、センサーを解除しても結局はまた一定時間で戻ってしまう。安全のための装置であるが、こういう場合には大変に不便である。

これは中華鍋には使いにくい。今どきの家庭用の調理器具は鉄のフライパンや中華鍋が使いにくい。本当に困ってしまう!!

鍋を強く熱したら油を入れて、全体に回して、また拭き取るのである。

鉄鍋を使い終わったら

使い終わったら、スポンジで水洗いして、また火にかけてよく熱して、水分をとばす。サラっとした感じになったら、再び油を薄〜く塗る。これはさび止めという気持ちである。

鉄鍋は、ガシガシとタワシでこすってもそうそうすり減るものではない。鉄鍋は一生使えるものです。

鉄鍋は洗ってはいけない?

鉄鍋を洗う時は、洗剤を使ってはいけないとよく言われる。動物性の脂肪でべとべとする時には、燃やし切るのもなかなか家ではやりにくい。拭き取ってから洗えばよい。洗ってはいけないということは無い。汚れたら洗うのが基本。そしてまたガンガンと熱してまた油を入れる。

鉄鍋の酸化重合について

実は、鉄鍋を熱して油を入れるのには、重要な意味がある。

鍋に油を入れて熱すると、油の中に含まれる脂肪が酸化して「重合」という化学反応を起こす。鍋の表面の細かなデコボコの隙間に入り込み、表面を覆う皮膜ができる。

テフロン加工は一旦剥がれてしまうともう取り返しがつかないが、鉄の表面にも実は自然のコーティングがあるのだ。

動物性の油は、飽和脂肪酸が多くてよく重合できないので、不飽和脂肪酸の多い植物油が良いとされる。

不飽和脂肪酸の分子の構造として二重結合が複数あるものが重合しやすいという。オレイン酸、リノール酸、リノレン酸には、それぞれ二重結合が1,2,3ある。これと不飽和度の高さを示す指標であるヨウ素価とが関連するそうだ。

オレイン酸が主成分のオリーブオイルは、二重結合が一つあり重合するけれども程度は強くないようだ。菜種油、ごま油は重合に適しており、ヒマワリ油、大豆油はより重合しやすいという。

しかしながら、どの油を使うかというのは、健康とも関連して各家に好みやポリシーがあるかもしれない。重合させる油(鉄鍋を手入れする油)と調理に使う油を使い分ける方法もあるかもしれない。


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“餃子のおいしい焼き方(鉄鍋の場合)” への2件の返信

  1. いつも楽しいブログをありがとうございます。
    因みに我が家の餃子は野菜の水気は適当にしかとりません。ざるに上げておしまいかな。そして片栗粉をまぶすのがポイント。こうすると野菜と肉のうまみが上手いこと収まるみたいね。

    ここだけの内緒の話でした。

  2. どうもありがとうございます
    なるほど、片栗粉をまぶしているんですね
    それで良い感じになるんですね

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