指揮者でピアニストであるダニエル・バレンボイム氏が2015年に、新しく開発したコンサート・グランドピアノを披露した。
なぜ細幅の鍵盤がなくなってしまったのか? →「【細幅鍵盤1】幅の狭い鍵盤のピアノについて」
前回の記事は:「【細幅鍵盤2】ショパンのピアノは細幅鍵盤、ベートーベンも細幅だった!」
バレンボイムのグランドピアノは細幅だ!
ベルギーの楽器製作者クリス・メーン氏がスタインウェイの支援を得て作成したもので、ストレート・ストリングというタイプのピアノである。
一般にグランドピアノでは低音弦とその他の弦の一部が交差するような配置になっているが、ストレート・ストリングでは交差することなく、弦は全てまっすぐに張られている。それにより、音は透明感を増し、音の特性が明確になり、どの音域でもクリアーに音が響くという。
バレンボイムのピアノは、中央にBARENBOIMという金文字が入っており、右端にCHRIS MAENEという文字が入れられている。
そして、あまり報道されていないのは、このピアノは鍵盤幅が狭くなっているということだ。
特徴は二つ、平行弦と細幅鍵盤!
第一印象では、鍵盤が長いのか、細いのかというふうに見える。
いろいろな風聞を総合すると、サイズは15/16でショパンのピアノに近いように見える。正確な情報は分からない。(細幅鍵盤を作成しているアメリカのスタインビューラー社の規格で言うとDS6.0鍵盤に相当する)
これはSteinway(上)とBarenboim-Maene(下)を比較した写真である。そもそも弦の張り方が違うというのが新しいピアノなので、画像では単純に比較できない。そうだとしても、ダンパーの幅などが同じと想定すると、おおよそ15/16くらいというのは間違っていないようだ。
もうちょっとすると(5年くらいかな?)、ピリオド楽器(古典派の時代の楽器)がさらに普及して、ベートーヴェンやショパンの時代の演奏をする時には、ちょうどこの15/16サイズのピアノで弾くことが当たり前になる時代が来るのではないか、と強く密かに期待している。
次の記事:「【細幅鍵盤4】鍵盤設計と鍵盤サイズについて」
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