オルガンの調律について

オルガンにも調律という作業がある。パイプは金属だし、温度によるピッチの高低はあるにしても、安定しているので、ピアノのように頻繁に調律する事はない。

オルガンは調律するたびに音が高くなる

オルガンは、ピアノのように頻繁には調律の必要がないとはいえ、それでも時間が経つとずれてくるので調律は必要となる。

バロックの時代から教会に残っているオルガンは、バロックのピッチでA=415Hzかと言えば、そういうわけでもない。

もっと低いこともあれば、もっと高いものもある。バロックピッチについては→(なぜバロック調律は415Hzになったのか?

オルガンの調律というのは、パイプの長さを調節することで行う。パイプを長くすることは難しいので、パイプは短くする方向で調律する。

先を少しすぼめるという裏技もあるが、音は低くなるが音色はこもってしまう。だから、高い方のピッチに合わせるのである。パイプを短くしていくわけだ。こうして、全体の音はちょっとずつ高くなっていく。

オルガンの音が高くなると歌えなくなる

教会のオルガンのピッチがどんどん高くなっていくと、今度は合唱が音が高くて歌いにくくなる。すると、今度は音を下げる必要が出てくる。

バロック期にはオルガンと合わせる管楽器が少なかったので、もっぱら合唱との調整であったようだ。

管楽器と合奏するのであれば、ある程度高くなると管楽器側のピッチ調整ができなくなってしまう。

管楽器のピッチは管のジョイントを緩めて音程を下げて調整する。ジョイントいっぱいまで差し込んだら、もう音を高くすることはできなくなる。

オルガンのピッチが高くなりすぎたら大修理

パイプオルガンのピッチが高くなりすぎると、一番短い管(つまり、一番高い音)を外して、その他のパイプを1個ずつずらすのである。そして一番低い音に一番長い管を新しく作って取り付ける。これは大修理である。

古いオルガンは、中世からそれ自体が貴重な歴史的文化財でもあり、同時にキリスト教の世界においても貴重な文化財であるので、古いパイプを簡単に捨てたりはしない。

ずらしても大丈夫なの? と思った人は古典調律の知識のある人ですね。現代の機械的平均律であればそれで良いのだが、バロック期の調律は不均等だった。

もちろん、ずらすだけでは駄目で全部のパイプを調律・整音するわけである。ただ、最近ではパイプをずらすことはあまり行わないようだ。

オルガンは永遠なり

それにしても、長い年月を経て、何度も調律されていくうちに、ちょっとずつ短くなっていく。しかも、今後も、何十、何百年と音を響かせていき、今一番長いパイプが、いつか一番短くなり寿命となる時期が来るのかもしれない、と考えると、永遠なるオルガンがたどる悠久の時の流れというのはなんと素敵なのだろうと思う。


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