英語による音楽用語〜音楽共通語イタリア語ではなく英語で表現するために

クラシックの音楽の言葉は、イタリア語がたくさん使われていて、それにドイツ語やフランス語、英語が混ざり合っている。

複数の言語が入り乱れる

日本では、特に、イタリア語とドイツ語とフランス語と英語をぐちゃぐちゃに混ぜ合わせたまま使っている。複数の言語が混ざり合っているのは、ヨーロッパの多くの国々が音楽を発展させならが、互いに影響を与えあってきたからだ。

日本では、カタカナにしてしまうともう何語かわからないので、いろいろな言葉が混ざり合ったまま、独自の音楽用語セットを作ってきたのである。

一般に音楽用語として広まっている、フォルテ(forte)とかアレグロ(allgro)といった言葉は、イタリア語で、これは世界標準である。クラシック音楽をやっている人たちであれば、ほぼ全世界で通用する。

ところが、スラーとかタイと言うと、これは英語である。これをイタリア語にしなさいと言われても、すぐに思い浮かぶ人はそうそういないのではないだろうか。

スラーが付いているから、ここはレガートで弾いて! などと言うのだが、スラーは英語でレガートはイタリア語である。

英語圏で音楽をするとなると・・・

日本人が、イタリア語と英語を混ぜて海外で話しても、大抵、理解してもらえるだろうと思う。ヨーロッパでも多くの言語が混ざるでの理解されないことはない。ところが、英語圏に行って英語で話された時に、全くわからない時がある。

例えば、”It was a little too soft.” というのは、音が柔らかいということではなくて、音が小さいという意味である。指揮者にこう言われて硬い音を出したら、怪訝な顔をされてしまうだろう。このsoftの反対語は、loudである。このセンテンスの意味は「音がちょっと小さすぎる」という意味になる。

このようなコミュニケーションのギャップを解決したい。結構、英語に詳しい人でも音楽の用語はきちんと意味をくみ取れなかったりする。

英語による基本的な音楽用語

楽譜に関する用語を英語で挙げてみる。

音部記号:clef (ト音記号は g clef)
音符:note
休符:rest
調号:key signature (楽譜の最初に付く#や♭)
調性:tonality
転調:modulation
スラー:slur
タイ:tie
主音:key note
半音:halftone あるいは semitone
和音:chord
和声:harmony

イギリス英語とアメリカ英語では異なる

音楽用語では、イギリス英語とアメリカ英語で異なるものがある。音符の表現がこれほど違うというのはちょっと驚かされる。

小節は、
イギリス英語では:bar
アメリカ英語では:measure
という。

5小節目の第2拍という時は、
英語:beat two of bar five
米語:beat two of measure five
となる。

五線譜 〜
英語:stave
米語:staff

全音符 〜
英語:semibreve (倍全音符は breve)
米語:whole note (〃 double whole tone)

2分音符 〜
英語:minim
米語:half note

4分音符 〜
英語:crochet
米語:quater note

8分音符 〜
英語:quaver
米語:eighth note

16分音符 〜
英語:semiquaver
米語:sixteenth note

32分音符 〜
英語:demisemiquaver
米語:thirty-second note

音楽の演奏に関わる表現

ここからは、特にイギリスとアメリカの違いということではない。

前にも書いたが、音量に関しては 〜
音が大きい:loud
音が小さい:soft

音の高低については 〜
音が高い:sharp
音が低い:flat

リズムやテンポについて 〜
リズムを刻む:get the rhythm
リズムをつかむ:catch the rhythm
テンポ通りに弾く:play in time
リズムを保って正確なテンポで:in time with the rhythm

英語の in time はイタリア語の in tempo と同じ意味になる。

timeはややこしくて、拍子の意味もある。そして、拍子が難しいのだ。
2拍子:duple time
3拍子:triple time
4拍子:quadruple time
6/8拍子:six-eight time
拍子記号:time signature

これからの進め方としては、楽典に沿って、日本語と英語を併記できると大変に具合が良いのではないかと思っている。

作曲家の名前の発音について

3月21日のバッハの誕生日には、GoogleのロゴがGoogle Doodleと変わって、好きなメロディを入れると、バッハのコラール風にアレンジしてくれた。AIを使った、機械学習なのだが、そのメイキングの動画を英語で見ていたら、しきりに「バック」というのである。これはBachを英語読みしたものだ。

アメリカではBachをバッハと発音せずにバックと言う。別にドイツ語に無知なわけではなく、教養がないわけでもなく、習慣としてアメリカではそのように発音するのである。かの偉大な指揮者で作曲家のバーンスタイン氏も英語ではバックと発音している。

もちろん英語でもバッハと発音する人は多いのであるが、アメリカでは「バック」、時には「ジョン・S・バック」ということもあるので、瞬間ふっと誰のことかわからなくなる時がある。バッハがアメリカに亡命したわけじゃないんだ。

 

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