数学の用語を英語で何というのか、さっと言えるだろうか? 。普段使うような足し算、引き算などもどう言えば良いのか。
数学用語を英語ではどう表現するのか?
数学用語だと思って考えると、なかなか英語では思い出せなかったりするが、単語自体はだいたい聞いたことがある。
大学になってから勉強したことは、日本語と同時に英語表現も習っていることが多い。これは数学に限ったことではないので、例えば経済学部で需要と供給と言ったら、”demand and supply”と言う表現も同時に知ることになる。
一部には”supply and demand”という流派もいるようで、Wikipediaでもそういう訳語になっていた。
これは余談であるが、学術用語で”and”でつながれる言葉は、因果関係、時系列、大小、の順に表現して、それがどちらでもなければ、ABC順で表現するのが良いと思う。まあ、”demand and supply”で良いだろう。
さて、これからが本題「数学用語の英語表現をきちんとまとめたい」です。実は海外に住むことも夢見ているのだが、馬鹿にされない程度の知識が必要だ。留学する人も知っておいた方が良いだろう。
基本的な算数の世界(算数=arithmetics)
まずは基本的な四則演算から
足し算:Addition
引き算:Subtraction
かけ算:Multiplication
割り算:Division
足す:add
引く:subtract
かける:multiply
割る:divide
表現例
2 plus 3 equals 5
5 minus 1 equals 4
4 multiplied by 3 equals 12
(4 times 3 equals 12 とも言う)
12 divided 2 equals 6
和:sum / total
差:difference
積:product
商:quotient
四則演算の式を読む
四則演算が読めれば、安心である。日常生活では、それだけで十分に事足りるかもしれない。
A + B = C | A plus B equals C |
A – B = C | A minus B equals C |
A ÷ B = C | A divided by B equals C |
A × B = C | A multiplied by B equals C |
記号を読む
A > B であれば、A is greater than B. となる。英語の場合、この記号の部分をそのまま逐語訳して英語に置き換えれば良いケースが多い。
これは大変便利である。日本語で、「A 大なり B」と読んでも、語順が日本語にならないので、違和感があったと思う。
< | is less than |
= | is equal to |
≠ | is not equal to |
> | is greater than |
± | plus or minus |
∪ | the union of |
≒ | is nearly equal to |
≦ | is less than or equal to |
≧ | is greater than or equal to |
⊂ | is a subset of |
⊃ | is a superset of |
日本語では表現が冗長!
日本では、小学校で「足し算」と習い、数学の時代になると「加法」とか名前が変わってしまう。出世魚を多数名付けてきた国だからであろうか。加減乗除とか四則演算とか「足し算、引き算、かけ算、割り算」という何通りもの名称がある。合計のことを「和」ともいう。
直接の関係はないけれど、英語の “I” に当たる日本語が「わたくし、わたし、僕、俺、儂(わし)、おいら、・・・」などたくさんあることを思い起こさせる。
日本語の「足し算」も「加法」も「和を求める」のも、英語ではadditionである。英語の表現は合理的である。小学校の時にarithmatics(算数)で習ったときも、その後mathematics(数学)という授業になっても、用語は変わらない。これは英語のメリットである。
言葉が違えば、同じ意味であっても、その成り立ちや歴史が違ってくるので、厳密には意味が微妙に異なるということになる。
数学の用語(数学=Mathematics)
数学の頃になると、このような言葉が出てくるだろう。英語でも算数と数学はちょっと違うのだな。
整数:integer
実数:real number
偶数:even number
奇数:odd number
正の数:positive number
負の数:negative number
分数:fraction
分子:numerator
分母:denominator
公約数:common factor
最大公約数:the highest common factor
最小公倍数:the least common multiple
倍数:multiples
素数:prime number
素因数:prime factor
因数分解する:factorize
2乗数:square number
3乗数:cube number
絶対値:absolute value
有理数は誤訳!? (有理数と無理数)
有理数:rational number
無理数:irrational number
有理数というのは、分数で表せる数のことで、だからratio(比率)を形容詞にしてrationalというのである。rationalという単語は、普通は「理性のある」とか「合理的な」という意味で習うので、そちらの意味と誤解している人が多いと思う。というか、字面からどうしてもそっちを連想してしまう。
irrational numberが無理数と訳されたことが原因となって「無理数を見た人が、もうワタシ何だか数学って無理!」と多くの人が思ってしまった、というのはジョークだとしても、意味としては「無理数」ではなく、確かに「非比数」である。
有理数・無理数という言葉はもうすっかり定着しているので変更されることはないだろう。ただ、ratioが根底にあることを知っていれば、定義を問われてもすぐに答えられる。
古代インド数学からアラビア数学につらなるalgebra(代数)
代数というのは、本当に長い歴史がある。「代数」はalgebraだ。およそ、全く英語らしからぬこの言葉は、アラビア語のal-jabr(アラビア文字表記:الجب)に由来するとのことで、「バラバラのものを再び結合する」という意味であるらしい。アラビア数学のルーツは、古代インド数学にあるという。
正比例:direct proportion
反比例:inverse proportion
式:expression
方程式:equation
公式:formula
関数:function
変数:variable
左かっこ( :left parenthesis
右かっこ ):right parenthesis
アメリカでは、丸カッコのことをparenthesisというが、イギリスではbracketという。アメリカでbracketというのは、[ のことだ。これをイギリスではsquare bracketと言う。丸カッコを曖昧にならないように言うにはround bracketと言う。
正規分布:normal distribution
偏差値:standard score
平均:mean
中央値:median
幾何学に関連するもの(幾何学=geometry)
このあたりは数学用語というよりも日常的な言葉が登場する。日本語のこの「幾何学」という言葉はどういう意味で付けられたのか全くわからない。
いくら?(幾ら)、何?(何)、の学問ということで、どう考えても、クエスチョンがループしてしまうのである。図形よりも数字のことが連想される。
点:point
直線:line
(線分は、line segment)
曲線:curve
円:circle
円の半径:radius
円の直径:diameter
円周:circumference
円周率:pi
(Piをさらに辞書で調べるとthe ratio of the circumference of a circle to its diameterとかいてある)
楕円:ellipse
三角形:triangle
長方形:rectangle
正方形:square
五角形:pentagon
X軸:X-axis
Y軸:Y-axis
平面:plane
立方体:cube
球:sphere
必要条件と十分条件
必要条件:necessary condition
十分条件:sufficient condition
必要条件と十分条件の意味はちょっと分かりにくい。なぜならば一見して通常の言語の意味とは異なっているように感じられるからだ。
「pならばqが成り立つ時に、・・・」と聞くと因果関係に思えてしまうが、このベースにあるのは集合なので、どちらが大きい集合かということを話題にしているのだ。これも分かりにくい。論理包含などと言うこともあるようだ。
pがりんごでqが果物の集合の時に、「りんごであるならば果物だ」というのは正しいわけで、りんごであるためにはまず果物である必要があるということなので、q(果物)はp(りんご)のための必要条件という。ふむ、これはOKだ。
そして、逆の言い方をすると果物だ(q)と主張するためには、その果物のどれかを用意すれば良いので、りんご(p)を持ってくると「とりあえず果物としては十分だ」ということになる。十分というのは全てではないということだ。
「りんごならば果物である」これは「pならばq」である。そして、「果物ならばりんごである」ということで「qならばp」も成り立つ(本当のこと)としたら、それはどういうことか。果物にはりんごしかない、ということで、果物と言ったらりんご、りんごと言ったら果物、ということになる。
これを必要十分条件というわけだ。英語では、necessary and sufficient conditionという。
ここまでは理解できていたのに、この「必要十分条件」の状態に至ると、文科系的な思考も等しく重視しようとしている私は一瞬にして固まってしまうのだ。この場合のpとqは、結局は「同じ意味」であって、「同一の定義」であり、平たく言って「同一の事象」であるわけだ。それを妙な表現をするので不可解なこときわまりなく、文学的表現で言えば異世界にワープしてしまうのである。
なぜ「必要十分条件」という持って回った言い方をするのか、理解できなくなってしまう。「必要条件と十分条件が同時に成り立つ場合は、同値となる」と言うと、理解は極めて容易で大変にすっきりする。
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