お酒というのは、今まで長い間「飲むもの」であると思っていた。もちろん、飲み物であるのだけれど、「飲まなくても良いもの」であることには全く気付きもしなかったのだった。
お酒をやめて何が良かったか
お酒は大好きなので、毎日飲んでいたし、生きていくためには欠かせないものだと思っていた。生活であり、快楽であり、文化の共有であった。
ところが、ある時に、飲みすぎてつらかったので、少し飲むのをやめてみることにした。それが長引いてやっと100日が過ぎた。
もちろん、お酒を辞めると良いことも悪いこともあるようには思う。しかし、お酒をやめて悪くなったことを考えると、後ろ向きになってしまうので、良かったことを重点的に考えよう、と思う。
「禁酒の効用」のような世の中の一般論を退屈に上書きしたようなものは多数あるので、ここでは実感したことだけを書く。
お金がかからない
今までは、300円のビールを月に40缶、2400円のウィスキーを月に7本、1200円の日本酒4合瓶を月に6本くらい飲んでいた。飲んだ量は6ヶ月の平均、お酒はいろいろと銘柄によって値段が異なるので、それぞれのジャンル毎に平均したところ、およそこのくらいになった。
こわごわと、月の合計金額を計算してみる。ビールが12000円、ウィスキーが16800円、日本酒が7200円、合計するとなんと36000円にもなった。
お酒を飲まない分、ジュースを飲んだりお菓子を食べたりするようになったが、月に5000円程度であった。月に31000円のコスト減である。
いつでも車に乗れる
お酒を飲んでいると、車の運転はできない。運転する前は、お酒を飲めないのである。
それは当たり前のことで、何を言いたいかというと、食事というものはお酒を伴うものである。特に夕食は、ビールを飲んだり、お酒を飲んだり、ワインを飲んだりして、開始するものである。
夜は車の運転ができないということになる。夜に、車で迎えに行ったり、送りに行ったりする時は、お酒を飲まずに我慢しなければいけなくなり、ストレスが発生する。
いつもお酒を飲まないでいるとそんなことは何も気にならない。
記憶がはっきりする
酒飲みは、夜遅くなっても、お酒を飲むスピードをゆるめることはないのが普通である。そうすると、ネットでドラマを一気に見ていると、惰性になってどんどんと見てしまう。
それは良いのだけど、翌日になっていざその続きを見ようとすると、第3話まで視聴済みになっているにもかかわらず、第3話を覚えていないようなことが起きる。
確かに見ているはずなのだけれど、他のことを掛け持ちでやっていたり、集中していないのである。
見ているときは、ストーリーもちゃんと追っていたはずなのに、翌日にはリセットされているのだ。
時間が増える
そういう場合には、気にせず第4話から見るという人もいるだろう。でも3話を見ても何だか見ていないような気がする時に、4話を見るというのはどうも気持ち悪い。
そうすると、第3話をもう一回見ることになるのである。昨日の今日で同じドラマの同じ回をもう一度見返さないといけないというのはなんという時間の浪費であろうか。
こういう時間の浪費もあれば、外でお店でお酒を飲んでいた頃(コロナウィルス・パンデミッックが起こる前)は、もっと多くの時間を使っていた。夕方6時頃にお店で友人たちと合流して、12時頃まで飲んだものである。
外で飲むのは、時間もさることながら、お金も相当に費やしたように思う。
健康に良いということ
健康ということについて言えば、これはまだあまり実感がない。生活習慣病やがんのリスクが低くなるとは言っても、それは統計的な事実ではあっても、やはり一般論であって、ある程度長い時間続けないと効果は低いだろう。
夕方、ビールを飲む時間には、やることがなくなってしまい、ぐったりと仕事の疲れが出てくる。横になると眠ってしまうこともしばしばある。
ということは、お酒を飲んでいる時間を昼寝やうたた寝に費やしているということになり、その分の時間を差し引くと、実はあまり時間は増えてはいないかもしれない。
お酒をやめてから、1ヶ月たった頃に健康診断があった。以前から中性脂肪は高かったのだけれど、これは下がった。でもその他の数値はあまり変わらない。
それからもう少し時間が経過したら、数値は変化しているかもしれない。
けがをした時に出血が止まる
それで思い出したが、いつも自分で髪を切るのであるが、ウィスキーを飲みながら切っていた。そもそも、これは危ないので、決して酒を飲んで刃物を持つものではない。
調子よく切り進んでいたが、あっと手が滑ったと思った時には、耳をざくっと切ってしまった。5mmくらい耳の上を切り込んでしまった。
手で押さえても、血はどくどくと流れてきて止まらない。ペーパータオルなどで圧迫しても全然血が止まらない。
1時間かけても血は止まらなかった。大量に出血するわけではないが、とにかく止まらないのである。
これも深酒をしていたからで、シラフだったら同じ程度に切ってしまったとしても、もっと早くに血は止まっていただろうと思う。あるいは、シラフだったらそもそも耳を切らなかったかもしれない。