WindowsとMacOSの両方をよく使う人は、ファイルを共有していてフォントの互換性に困ることが多いと思う。フォントが無いために、デザインが狂ってしまったり、最悪の場合には、資料を作り直す必要があることさえある。実は、そんなことから解放される方法があるのだ。
MacとWindowsでフォントが異なる問題
MacとWindowsの双方で、共通のフォントを含むアプリを購入しているので問題が無い、というな場合もあるかもしれないが、そういうことは滅多に無いだろう。
ファイルサーバは企業や家庭でも普及していて、我が家にもNASのファイル共有のシステムがある。これは今では珍しいことでは無い。仕事場や自宅で、ファイルサーバやNASにあるファイルをWindowsマシンからもMacからもファイル編集ができるのだ。
例えば、WindowsのMicrosoft Excelで作ったファイルを、MacのLibre Officeから開いて編集するようなことがある。ファイルの互換性は、年々高まってきてアプリケーションとしては問題がない。しかし、決定的に困ることがある。それはフォントである。
Windowsでファイルを作成すると、デフォルトがWindowsの定番のMS Pゴシックになっている。Meiryo UIを使うことも多い。それらのフォントはMacOSにはないので、フォントが他の互換フォントに置き換わってしまう。
フォントが無いと他の互換フォントに変わってしまい、その結果レイアウトがずれてしまう。フォント毎に縦幅も横幅もサイズが異なるので、細かな調整をしたレイアウトはもう滅茶苦茶になってしまう。
WindowsではMS PゴシックとかMS P明朝が定番のフォントであり、MacOSにおける基本はOsakaフォントである。どちらかにしか存在しないフォントである。
これが大変に不便なので、WindowsのフォントをMacOSでも同じように表示させたい。あるいは、MacOSのフォントをWindowsで表示させたい。そんなことは簡単にできるのだろうか?
WindowsのフォントをMacで使う方法
技術的なことからいえば、Windowsのフォントを単純コピーしてMacOSに移せばそのまま使用することができる。プログラムでは無いのでインストールの必要はない。フォントはファイルだということである。
フォントは、MacOSとWindowsで互換性が高まった結果、TrueTypeフォントもファイル名の違いなどがあることが時々あるだけで、ほぼ同様の仕様になっている。MacOS X以前の、古いTrueTypeフォントでは、MacとWindowsで互換性がない場合もある。
WindowsのフォントもMacOSのフォントも、ほぼTrueTypeとなって、共通の技術ベースの上に成り立つようになった。フォントメーカーにとっても複数のOS別にフォントを開発するのはコストが高く、仕様を共通化してきたのであろう。
新しいマシンに移行するような時は、基本的にはフォントをコピーして移せばよい。フォントはプログラムではなく、ファイルであるからだ。
Windowsのフォントは、C:¥Windows¥Fonts の下にある。エクスプローラで開くと、実際のファイル名ではなく、フォント名が表示されるようになっている。
WindowsのフォントをMacで使うことができるならば、MacのフォントをWindowsでも使うことができる。MacとWindowsの垣根は低くなった。
ただし、フォントをコピーして使用できるかどうかは、フォントの著作権の規定によるのでライセンス条項をよく確認する必要がある。元のOSの使用許諾と購入したアプリの許諾条件等を組み合わせて考える必要がある。一般的には、有償アプリやOSに付属するフォントで複製が許可されていないものは、ほとんどない。
したがって、フォントを購入するという方法があるわけだが、実は、無料の日本語フォントというものが、本当にたくさん出回っている。無料ということで、当初は漢字の種類が少なかったり特殊記号に対応していなかったりするものが多かった印象があるが、今ではこれを利用しない手はない。
「商用利用可能な日本語無料フォント」と検索するとたくさんの紹介ページがある。Googleや日本のIPA等で提供しているフォントもフリーとして存在する。
フリーフォントの中には、漢字の種類や特殊記号の表示などに制限があるものがあるので、一覧で比較できるサイトでチェックすると良い。
とはいうものの、現在のフリーフォントは、無償とは思えないほどデザイン性に優れており、表現力も高く、印刷や表示の品質もきわめて高いものが本当に多数あるのである。フリーフォントの数は、ざっと調べてみても、現在で400種類以上あるようだ。Webや広告、その他の商業利用にも使えるフリーフォントがたくさんある。
フォントをMacにインストールする方法
通常のMacへのFontインストール方法
通常のインストール方法は、Macならではの本当に簡単な操作でできる。フォントのファイルをFinderから選んでダブルクリックすると、Font Bookというアプリが自動的に起動するので、「フォントのインストール」ボタンをクリックするだけでインストールができてします。
環境設定でデフォルトのインストール先を「ユーザ」(自分)にするか、「コンピュータ」(全ユーザ)にするかを設定できる。
手動でFontをインストールする方法
また、古いMacから移行するような場合は、Mac側には複数の保存場所があり、それぞれ意味が異なる。
1./System/Library/Fonts にはシステムが使用するフォントがある。ここはできれば触らない方が良い。ここにあるフォントを消すと問題が起こる可能性があるが、フォントを追加してもリスクは少ないと思われる。
2./Library/Fonts には全ユーザで使用するフォントがある。一般的に新しいフォントを全ユーザで使う場合には、ここに入れる。コピーして入れるだけですぐに使えるようになる。先ほどのアプリFont Bookで「全ユーザ」にした場合はここにインストールされる。
3.~/Library/Fonts には、各ユーザ専用のフォントがある。各ユーザにはそれぞれ専用のフォントのフォルダがある。ここに入れればそのユーザだけが使えるようになる。
補足であるが、 ~/ は、ユーザのホームディレクトリの代名詞である。UNIXで使われた表記法であり、MacOSもUNIXであるので、その伝統を継承している。MacOS で、abcというユーザ名があったら、~/ は /Users/abc を意味している。
(作成:2018年8月)