シャーロック・ホームズは、華々しい探偵としての活動から引退したのちにサセックスに隠居した。(言うまでもなく、シャーロック・ホームズは、コナン・ドイルの小説の主人公である。)
探偵としてのホームズの家
シャーロック・ホームズの家といえば、ロンドンのベーカー街である。”221B Baker Street” という。サンタさんはそもそも住所が不要であるが、シャーロック・ホームズの住所は有名であり多くの人々に知られている。
ドイルがホームズの小説を書いた頃には、ベーカー街には221番地は存在せず、東側には1から42、43は欠番で、西側に44から85番までがあった。
現代では、かつてのアッパー・ベーカー街41できた建物に、新たに拡張された番地の215から229が割り当てられた結果、221を含むこの建物にホームズ宛の手紙が寄せられるようになった。
実在の人物ではないので、これからの彼の歴史は虚構である。シャーロック・ホームズは、49歳でサセックス州に引っ越して、養蜂業をして余生を過ごそうと考えていたという話である。
ホームズの経歴
シャーロックは、1853年にイングランドで生まれたということになっている。1872年に大学に入学して、化学の実験をしたり、バイオリンを弾いたりしていたという。
「グロリア・スコット号事件」によれば、1874年の夏に大学の友人であるヴィクター・トレヴァーの父親の勧めもあって、私立探偵という生き方を意識することになる。
27歳の頃に(1881年)、ベーカー街221Bに転居した。ジョン・H.ワトスンとも同居しながら、探偵業を深めていく。
シャーロックは、どんどんと探偵として脂が乗っていくのであるが、ワトソンは『四つの署名』に登場したメアリー・モースタン嬢と結婚してしまって、ベーカー街から去ってしまう。
ということにはなっているが、ワトソンは結婚してホームズとは別に住んだ後も、その後の短編では、またホームズと一緒に住んでいるような話もあって、短編だったりするから、細かな前後関係とかコントロールしようもなかったりするのであろう。
ワトソン博士は、結婚してからもベーカー街に住んでいることも多いのである。とても立派な良い人である。
私の好みでは短編が良いように思う。長編は悪いわけではないが少し読みにくいところがある。
サセックスへ引っ越し
その後いろいろあったが、省略して、1903年になるともう探偵業を止めようとしてしまう。ロンドンから南東のサセックスに引っ越して、隠遁生活を試みる。
ホームズが隠居しようとした年齢を私はもうだいぶ越えてしまった。
ホームズの場合はいろいろと危険な事件を乗り越えて、傷つくことも多かっただろう。しかし、現代の日本人もかなり心と体をすり減らしている。
さて、ホームズがサセックスに行っても、やはりそこでも事件は起きて、探偵は生き返ることになる。1909年のサセックスの海岸で起きた教師変死事件は気味の悪い事件であった。
その後、いろいろあって再び探偵をするのだけれども、最後はサセックスに辿り着いたようである。ということは、シャーロック・ホームズの最後の家は、サセックスであると言って良い。
なぜサセックスだったのだろう。コナン・ドイルが何かサセックスとつながりがあったのか、何かしらの思いがあったのか。