親ラブ世代 〜 仲良し家族から子供の自立へ

親ラブ世代という言葉は、NHKラジオを聞いていた時に、藤井アナウンサーが話していた。それを聞いてピンときた。そういうことって確かにある。

親ラブ世代の成り立ち

今の中学生から高校生や大学生は、親と仲が良いという。その世代の親というと、40代から50代前半くらいに当たるのだろう。

今の50代というのは、彼らの親から厳しく叱られたり、そうでなくても反目し合うようなこともよく聞かれた時代だった。つまり、50代の親の親というと、戦前に生まれて終戦の時に小学生とか中学生とかくらいで、要するに戦前の日本の教育を受けているのだ。考え方は古くて、頭のガチガチなところがあった。

戦前の親がしていたように居直っていたお父さんたちは、1970年代になると突然に、何の前触れもなく、父親としての権威が消失してしまった。家の中では、母親が最高位となり、父親は子供と同列の階級に下がってしまった。ものすごい格下げである。

学生運動の直接の影響は測れないけれど、従来の価値観が大きく変わっていった時代だった。いろいろなものの価値が逆転したり、多くのものが消えていき、また別のものが生まれた。ヒッピーやドラッグの時代、社会はどうしてこれだけのスピードで変わっていくのだろうか。

親ラブ族となるとマイナス面が強調

このような時代の変遷があって、そこにはある種の反動もあり、今の50代は物分りが良くて、理解のある親であるケースが多い。その子供も一人っ子が多くて、親とは友達のように接している。

今の子供に、反抗期があるとかないとか、それは僕自身は経験がないのでよく分からないことなのだけれど、何やら関係があるという意見の人もいるようだ。反抗期というのは自立への通過点であるということなのだと思う。親や大人から一定の距離を置くための試行錯誤の期間であるという考え方である。

ネットで調べてみると「親ラブ世代」という言葉はあまり出てこなくて、「親ラブ族」などと言って、ちょっとネガティブな見解が多い。何につけ「族」となると、印象が悪い。まず暴走族、そして社用族(=会社費用で飲み食いする人たち)、元は斜陽族(=第二次世界大戦後の没落階級)などもある。そもそも、民族、血族、親族、家族など関係性の強固な集団を意味する言葉がある。

仲良し家族

親ラブ世代というと、お父さんやお母さんの服をもらって着るというようなことがある。ちょうどお父さんお母さんの30年前はバブルの時期である。

今のユニクロのような店はなかった。安いものは大体は不良品で、良いものは高かった。高級な洋服を買って痛んでいないものはなかなか捨てられず、保存されていることがよくある。

「おさがり」というと上の兄や姉からというものだったが、今では親からのおさがりというのがあるわけである。これは別に悪いことではない。高校生男子が昔のお父さんのセーターなどを着るのはもちろん、高校生の女子がお父さんのTシャツを着たりもするということだ。

子供の自立

大切なことは、子供を育てるということは、子供を自立させることなので、親から離れて生きていけるようにすることである。ヒトは、他の動物のようにシンプルに親離れ子離れをするわけではない。いや、動物も実はいろいろと苦労があるのかもしれないが、無学にして知らない。

子供は、親のことを親が意識する以上に細かく観察しているもので、親がまず最初にしっかりとしないといけないのだなあとは思うが、自分は全くお手本にはならない親なのである。

子供は結局親から離れていく。親からすると少し寂しいことでもあるけれど、やはりそのように自立させるのが人間界の世代交代の摂理としては順当なのであって、いつまでも親の庇護のもと生きていくというのは良いことではない。とは言うものの、具体的にどうこうと言える立場ではないが、親と子供が仲良くしながら、子供を自立させていく道もあるはずだ。

 

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