N響定期演奏会Bプログラム
N響定期演奏会Bプログラム、サントリーホールで、ファビオ・ルイージ指揮、諏訪内晶子さんのベルク ヴァイオリン協奏曲、マーラー4番独唱森麻季を聞いてきました。
ベルク ヴァイオリン協奏曲
ベルクは心に響くとても良い演奏でした。一昨日Youtube動画で指揮者大野和士氏のベルクの作曲に至る経緯を詳しく聞いたせいもあったのか、あるいはスコアを読んで予習しておいたせいもあったのか。多分前の方の理由かも。
僕は以前には作曲の背景とかに全く興味がなかったけれど、作曲家個人の情況とか政治社会的背景とか知っていると演奏に込める思いの深さにも影響するかもなぁと思うようになってきました。
今頃何を言っているの?と思われる方も多いかもしれませんが、これまでの僕の音楽との接し方は、極端に楽譜一辺倒だったのです。
さて、諏訪内さん、自分の音とオケの音とをじっくりと聞きながらアンサンブルしているような印象を受けました。ソリストとして正面を向いていた諏訪内さんがちょっと右を向て1stVn側に横向きになりました。
諏訪内さんはステージの全ての音を聞いています。
その後、さらに右を向いて2ndVnに向かい合って、その時にはソリストはもう完全に後ろを向いています。そしてチェロに向きヴィオラに向き合って360℃回転が完了。Vnソリストが1回転するのは今まで見たことがありませんでした。
放送録画する立場だったらどうしたら良いのか分からなくなってしまいます。しかしこれはライブであり、アンサンブルであり、きれいな音で、素敵な演奏でした。
マーラー交響曲4番
マーラー4番も好きな曲です。心地よいテンポ感でスタートしました。2楽章の終わりに独唱森麻季さんが登場。それから20分もある3楽章の間ずっとステージ上で椅子に座って「待ち」。ゴージャスなドレスで指揮者の真横に座って20分間じっと中空を見つめる。
今日に限って双眼鏡を忘れてしまいました。ステージ上のソリストの細かい表情は見えません。そこはプロフェッショナルなのできっとニュートラルな感じでいることでしょう。
でも、借りてきた王女様が座っているみたいで。遠くて顔はよく見えないけど、とらわれているわけではないのに落ち着かないのです。
3楽章は表現の奥深さが感じられる、とても好きな楽章です。でもこの楽章が続く間ずっと、激しく動く指揮者とコンマスとの間でずっとじっとしているのも大変だろうなあと思いました。それがどうも気になってしまうのです。
ステージの運営から考えれば、4楽章の時にソリストが出来てきても良かったのです。3楽章から続く音楽の流れを受けて、4楽章で歌いたいということだったのかも知れません。本当の理由はよく分かりません。
3楽章で入場するのはよくあることなのでしょうか? 逆に、3楽章で一旦停止して、拍手を受けてソリストを迎え入れて、4楽章に進むとかもあるかなあと思ったし、3楽章の途中で入場するのもあるかもと思った次第です。現実的には、3楽章から4楽章へは切れ目なくつなげたいと指揮者ファビオが要望したということなのでしょうか。
今日のコンマスの郷古さんは、マラ4でソロ用のヴァイオリンとオケ用のヴァイオリンと2台持って、ちょこちょこと持ち替えて演奏していました。コンマスが、ヴァイオリンを持ち替えて弾くのも見たことなかった。
(もう一つ報告すると、長年見慣れた、客席に設置していた長さが60cm以上あるようなNHK大型カメラと撮影スタッフ(生きた人間)がいなくなり、ただ自動リモートカメラみたいのに変わっていました。これもコストカットなのか?)
今日は初めてがたくさんありました。
